骨軟部腫瘍
「こぶ・しこり・
はれもの・できもの」
「骨軟部腫瘍(こつなんぶしゅよう)」は聞き慣れない言葉と思いますが、一般的には、「こぶ・しこり・はれもの・できもの」そして「腫瘤」などと呼ばれることが多く、そうするとなじみが深いものかもしれません。または既に“こぶ・しこりをお持ち”であったりするかもしれません。そのまま経過観察してよいものもあれば、手術切除すべきもの、場合によって化学療法(抗がん剤薬)や放射線治療の併用が必要な悪性のものもあります。当院では、主に骨軟部腫瘍の診断およびセカンドオピニオン、そして良性腫瘍の手術を行っております。気になる「こぶ・しこり・はれもの・できもの」そして「腫瘤」がありましたらお気軽にご相談ください。その骨軟部腫瘍は軟部(筋肉、脂肪、神経、血管や皮下など)や骨に発生し、軟部の良性腫瘍(良性軟部腫瘍)では脂肪腫や粉瘤(アテローム/類表皮嚢腫)や嚢腫などが有名でご存知の方も多いかもしれません。
また、骨の良性腫瘍(良性骨腫瘍)は骨軟骨腫(外骨腫)や内軟骨腫や骨嚢腫などがあり、多くは痛みや変形などのレントゲン撮影の際に「骨の画像異常」として腫瘍を指摘されたり、骨軟骨腫などは骨のでっぱりとして自覚されて受診されます。それら骨軟部腫瘍は、全身のあらゆる部位にできることが特徴で、また病気(病理組織)の種類も多彩で、その種類は100以上にものぼります。そのような病気(疾患)の多彩性より、専門家による正確な診断の基に適切な治療を進める必要が重要になる分野になっています。
更には“とても怖い話し”として、それら「こぶ・しこり・はれもの・できもの」で気づかれる腫瘤には「悪性」も含まれおり、その悪性腫瘍は肉腫(サルコーマ)などとよばれ、これらは生命に関わります。これは馴染みが薄いと思われますが、簡単には「骨や筋肉の“がん(癌)”」の位置づけです。馴染みが薄い故に、専門ではない医療機関で良性腫瘍として「不適切な治療な治療」を受け、残念ながら問題(障害、生命の問題)となるケースが多い現状があります。
また、他の臓器(肺、消化器、乳腺、前立腺など)の“がん(癌)”からの骨への転移(転移性骨腫瘍)なども本分野(骨軟部腫瘍)に含まれます。担当医師は、日本整形外科学会整形外科専門医(指導医)かつ、日本整形外科学会骨軟部腫瘍認定医および日本がん治療認定医機構がん治療認定医でもあり、全国でも数少ない「その骨軟部腫瘍」の専門医であり、そして数多くの臨床経験を持ちます(経歴等を参照ください)。気になる「こぶ・しこり・はれもの・できもの」そして「腫瘤」がありましたらお気軽にご相談ください。
診断・治療については、レントゲン、エコー、CT、MRI、血液検査、生検検査などを行い骨軟部腫瘍の診断を行います。治療については、診断上そのまま経過観察してよいものもあれば経過観察、手術切除すべきものは相談の上で手術を行います。脂肪種・粉瘤・嚢腫や骨軟骨腫など良性腫瘍に対しては当院で治療(手術切除)が可能で、良性腫瘍でも入院による治療が必要なものや悪性腫瘍には対しては、診断後に適切な治療を行う医療機関(がんハイボリュームセンターなど)にご紹介いたします。
また、骨転移に関しては痛みの治療法が進んだ現代では、「長い間、痛みを伴う骨粗鬆症・腰痛・関節痛として治療を受けていたがなかなか治らない」ので詳しく検査を行ったら、“がん(癌)”の骨転移(転移性骨腫瘍)であったことは専門施設では少なからず経験します。ご心配な方もお気軽にご相談ください。
良性軟部(皮膚)できもの例
脂肪腫、粉瘤、炎症性粉瘤、ガングリオン、滑液包炎、嚢腫、線維種、血管種、平滑筋腫、イボ、ほくろ、皮膚線維種、軟性線維種、石灰化上皮腫、脂腺嚢腫、化膿性汗腺炎(慢性膿皮症)など
良性骨できもの例
外骨腫(骨軟骨腫)、内軟骨腫、骨のう腫、など
各施設の骨軟部腫瘍の説明HP
- 日本整形外科学会の骨軟部腫瘍
- 国立がん研究センターの肉腫(サルコーマ)
- 国立がん研究センターの軟部肉腫(悪性軟部腫瘍)
- 国立がん研究センターの骨の肉腫(悪性骨腫瘍)
担当医師挨拶
順天堂大学ホームページ
(GOOD HEALTH JOURNAL)より
- 末原 義之 (すえはら・よしゆき)
- 順天堂大学 医学部整形外科学講座 客員教授
- 整形外科専門医、骨軟部腫瘍認定医、がん治療認定医
- 経歴
- 2000年 順天堂大学医学部卒業後。順天堂大学医学部附属順天堂医院整形外科研修医を経て、栃木県立がんセンター骨軟部腫瘍科勤務。2007年 順天堂大学大学院医学研究科修了。2004年の国立がん研究センター研究所研修生、2006年の国立がん研究センター中央病院整形外科がん専門専修医を経て、2008年に順天堂大学医学部整形外科助教。2010年と2016年の2回にわたって米国MSKがんセンターへ留学。2013年に順天堂大学医学部整形外科に戻り、助教、准教授を経て、2021年より現職。医学博士。
- 詳細な
経歴や実績 -
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骨軟部腫瘍について
良性軟部腫瘍
症状
良性軟部腫瘍とは、軟部に発生した腫瘍のうち生命に悪影響を及ぼすことがない腫瘍の総称です。四肢や体幹の「こぶ・しこり・はれもの・できもの」として気づくことが多く、腫瘍が神経を圧迫している場合はしびれなどの症状があります。粉瘤や滑液包炎などの場合は炎症による痛みと伴うことがあり、血管腫も痛みを伴うことがあります。それらの種類は多岐にわたります。
病因、病態
ガングリオン、粉瘤、滑液包炎など、原因がはっきりしているものもありますが、一部に遺伝子の異常が報告されていますが、ほとんどの腫瘍は原因がわかっていません。
当院での診断治療
レントゲン、エコー、MRI、CTなどの画像検査を行い、良性腫瘍と診断できればで、経過観察か必要によって当院で治療(手術切除)いたします。良性腫瘍でも入院による治療が必要なもの適切な医療機関を紹介させて頂きます。
良性骨腫瘍
症状
良性骨腫瘍とは、骨に発生した腫瘍のうち生命に悪影響を及ぼすことがない腫瘍の総称です。骨軟骨腫、内軟骨腫などその種類は多岐にわたります。本来腫瘍性病変ではないがその挙動が腫瘍に似ていることから腫瘍類似疾患として良性骨腫瘍に分類されるものもあります。良性骨腫瘍は子どもや若年者に多くみられ、膝や股関節周囲、手の骨に発生することが多く、運動や歩行時の痛みで気づいたり、骨の隆起や、骨折を生じて発見されたりすることもあります。痛みはほとんどが軽度で多くは非進行性ですが、類骨腫のように夜間痛など強い痛みを伴うものもあります。
病因、病態
良性骨腫瘍の一部には遺伝するものがあることが知られており、特徴的な遺伝子の異常もみつかっていますが、多くの良性骨腫瘍の原因は未だわかっていません。隆起した骨が運動の障害になったり、腫瘍によって弱くなった骨が痛みや骨折を生じたりします。
当院での診断治療
まず、レントゲンで骨が隆起していたり、ぬけて見えたりしていないか評価します。必要に応じてCTやMRIなどの画像検査を行います。良性骨腫瘍には多くの種類があり、特に治療を必要としないものから早期に専門的な治療が必要なものまでさまざまです。良性腫瘍と診断できればで、経過観察か必要によって当院で治療(手術切除)いたします。良性腫瘍でも入院による治療が必要なもの適切な医療機関を紹介させて頂きます。
悪性軟部腫瘍(軟部肉腫)
症状
悪性軟部腫瘍とは、軟部に発生した腫瘍のうち、肺などの臓器に転移するなどをきたし生命に悪影響を及ぼすことがある腫瘍の総称です。通常は無痛性の腫瘤で、深部に発生した場合は大きくなってから始めて気づくことも多いことが特徴です。神経の近くに発生したものや神経そのものに発生した場合、しびれや麻痺等の神経症状を伴うこともあります。
病因、病態
原因がはっきりとわかっていません。一部の腫瘍では、その腫瘍に特異的な遺伝子の異常が解明され、世界中で様々な研究が進められています。遺伝子の異常といっても、ほとんどの場合、遺伝したりすることはありません。軟部肉腫の約40%は四肢、特に大腿部などの下肢に多く発生しますが、腫瘍の種類によって発生部位に特徴が見られます。脂肪肉腫や粘液線維肉腫は大腿部に、類上皮肉腫は前腕から手の浅層に多く発生します。好発年齢にも特徴があり、横紋筋肉腫や軟部発生ユーイング肉腫や胞巣状軟部肉腫は10~20歳代の若年者に、その他の軟部肉腫は中高年以降に発生する傾向があります。
当院での診断治療
レントゲン、CT、MRI、採血などの画像診断を行い、悪性を疑った場合は、できるだけ早く治療ができるようにできるように適切な医療機関を紹介させて頂きます。軟部肉腫の治療の基本は手術による切除ですが、化学療法(抗がん剤薬)や放射線療法の併用が必要な場合もあります。
悪性骨腫瘍
症状
悪性骨腫瘍とは、骨に発生した腫瘍のうち、肺などの臓器に転移するなどをきたし生命に悪影響を及ぼすことがある腫瘍の総称です。悪性骨腫瘍には、原発性悪性骨腫瘍と転移性骨腫瘍があります。原発性悪性骨腫瘍は主に10歳代などの若年者に発症します。代表的なものは骨肉腫やユーイング肉腫などがあります。転移性骨腫瘍は、前立腺がんや肺がんや乳がんなどからの骨への転移がその代表です。各腫瘍に特徴的な症状はありませんが、痛みや腫れが出現することや骨がもろくなり骨折(病的骨折)して発見されることもあります。原発性悪性骨腫瘍は膝や股関節、肩などの近くに生じることが多く、転移性骨腫瘍は脊椎や大腿骨で多くみられるとされています。
病因、病態
原発性悪性骨腫瘍の多くは、原因がはっきりとわかっていません。一部の腫瘍では、その腫瘍に特異的な遺伝子の異常が解明され、世界中で様々な研究が進められています。遺伝子の異常といっても、ほとんどの場合、遺伝したりすることはありません。転移性骨腫瘍は、肺や消化器などの内臓のがんの腫瘍細胞が主として血液の流れを介して骨(骨髄)に運ばれること(転移)によって起こるとされています。
当院での診断治療
レントゲン、CT、MRIなどの画像診断を行い、悪性骨腫瘍を疑った場合、できるだけ早く治療ができるようにできるように適切な医療機関を紹介させて頂きます。悪性骨腫瘍の治療は手術だけでなく、多くの場合、化学療法(抗がん剤薬)や放射線療法の併用が必要です。